沖雅也と「大追跡」
2008-12-02


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「沖雅也と「大追跡」 70年代が生んだアクションの寵児」
かわだわか 著
ワイズ出版 刊

を読んだ。
1983年、「涅槃でまってる」という遺書をのこして、31歳の若さで自ら命を絶った俳優「沖雅也」。
その彼が、16歳で役者になるまでの生い立ち、そしてその後の役者人生15年を、ちょうどその中間期(1978年)に出演したTVドラマ「大追跡」を軸にして、この本は構成されている。
彼が亡くなってから、ちょうど25年目にしてようやく、こういった本が発売されたことが不思議でならない。やはり当時スキャンダラスな報道がされたせいもあったかもしれないが、今はもう時効ということなのだろうか。なんにしても、今回のこういった研究本が上梓されたことは、自分にとっては、待ちに待ったという感じで、素直にうれしい。
思い返せば、1976年「太陽にほえろ」に登場したスコッチ刑事に心酔したのが始まりで、その後「大追跡」「俺たちは天使だ」等でさらに彼の演技に没頭、前後するが「必殺仕置人」の棺桶の錠、「必殺仕置屋稼業」の市松をみて、スコッチのルーツを感じたりと、当時はかなり沖雅也という俳優にハマってました。
それにしても、この本の作者には正直負けたという感じ。
沖雅也の演技の一挙手一投足まで事細かに分析しており、大追跡だけにとどまらず、映画からその他のTVドラマまで、多岐に渡って研究されている。
さらに大追跡で共演した藤竜也・長谷直美へのインタビュー、また木下亮・長谷部安春・村川透・小澤啓一・澤田幸弘・高瀬昌弘の各監督、脚本の柏原寛司、プロデューサーの岡田晋吉・石井幸一・山口剛、他に大野雄二や林邦史朗まで、錚錚たる方達へのインタビューも収録されているのが、うれしい。
残念なのは、柴田恭平へのインタビューが載っていない(できなかった)ことぐらいだろう。
何故彼が、あのような結末に至ったかを探るような本では決してなく、純粋に彼の俳優としての魅力を語っている、そんな読み応えのある一冊です。
[本]

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